第1章 ペンション経営時代
ペンションを開業して2日目、久世は美しい女性と出会います。その人が現在の妻、「久世まゆみ」だったのです。希望に満ち溢れた若い2人によるペンション経営が始まりました。久世は大好きなスキーをペンション客にコーチする傍ら、スキーのレースを主催するなど、名物ペンション経営者になります。
しかし、実際のペンション経営とは大変な商売です。スキーシーズンの繁忙期はプライバシーなど全くなく睡眠もろくにとれないような状況が続くかと思えば、オフシーズンには収入が途絶えます。次第に肉体的・精神的な負担がまゆみ夫人にかかりはじめました。幼子を抱えながらのペンション経営に2年間耐えながらも、とうとう、まゆみ夫人は実家に戻ってしまいます。
まゆみ夫人の苦悩を知った久世はペンションをやめる約束をして、まゆみ夫人を実家に迎えに行ったといいます。その後、様々なビジネスを試みますが、ペンションをやめられるほどの収入を生み出すことはなまやさしいことではありませんでした。(第2章に続く)